以下は、古き良き昔に組まれた「Sligh」デッキを意識して組んだデッキである。

「ラヴニカ」や「時のらせん」にて主に「火力」と言う面で強化された赤であるが、今回の「次元の混乱」にてクリーチャー面においても強化された。

今まで他の色(白や緑)に比べて、些か軽いマナ域の生物が貧弱で、特に多色ブロックである「ラヴニカ」では主に「多色」カードが強化されていて、赤単品ではそこまでの強化はされていなかった。

特に2マナ域は、他の色に比べて輪をかけて貧弱で、2マナ2/2+αといったような使用に耐えうる生物がいなかった為、「ゴブリン」といった種族デッキでしか単色は組めず、必ず白や緑を脇に・・・というか、メインに組まないとやっていけなかったという印象を受けた。

そしてそれは「時のらせん」が世に出てからも変わらず、幾らか赤い生物も強化されたものの、他の色も同じく強化された為にスーパーサブの域を出ず、未だメインを張る色にはなれなかった。

それでは、「次元の混乱」にてどのような物が強化されたのか?それを以下のデッキレシピから見ていきたいと思う。


「赤単Sligh」
>メインボード(60)
>クリーチャー(23)
3 激情のゴブリン
4 焼け焦げたルサルカ
4 ケルドの匪賊
4 血騎士
4 スークアタの槍騎兵
4 巨大ヒヨケムシ
>エンチャント(4)
4 炎の印章
>ソーサリー(8)
4 火山の鎚
4 裂け目の稲妻
>インスタント(4)
4 黒焦げ
>土地(21)
1 ペンデルヘイヴン
1 カー砦
2 砂漠
17山


>サイドボード(15)
4 硫黄の精霊
4 特務魔道士ヤヤ・バラード
4 ワイルドファイアの密使
3 血染めの月


以上のデッキに、「次元の混乱」が与えた影響は、論じるまでも無く、「2マナ域の強化」であろう。

「ケルドの匪賊」や「血騎士」と言った2マナ域が追加されただけだが、これらが追加されたという事が、とても大きいと考えられる。

先にも述べたが、「次元の混乱」が出る前の赤は、何か他の色を組み込まないとやっていけなかった。

それは主に、速いデッキの主戦力になりうる2マナ域、それが赤にはほぼ何も存在せず、良くて2マナ2/2デメリットなし、2/1でなら何かしらのトリック付きという、他の色にあるようなパワフルな物は無く、戦線を突破するようなカードは何もなかった為である。

あるデッキはその主戦力を白に、

あるデッキはその主戦力を黒に、

あるデッキは死の主戦力を緑に、単色から2色に軸線をずらす事によって、赤をそれら主戦力を通す為の露払い&本体へのラストブロウといった、あくまでも「サポート」に回され、メインを張る色にはなりえなかった。

それは、主戦力になりえた2マナ域のクリーチャーの欠如にあったと考えている。

そこで現れたのは、「次元の混乱」である。

ここに来て、ようやく優秀な2マナ域が現れた。

先にも述べたとおり、「ケルドの匪賊」と「血騎士」である。


●「ケルドの匪賊」
このカードは、一言で言ってしまえば使い捨てタイプのクリーチャーであろう。

このカードで与えられるダメージは最大で5点であり、最低でも2点、そして相手の何かと1対1交換してくれるという、そういうカードである。

殆どの場合1回しか殴れない為、些か非効率な印象を受けるがさにあらず。

速いデッキの場合、「1回でも殴れる」というだけでも十分に考慮に値できるのである。

火力を伴うデッキの場合、殆どの場合で長いスパンでは考えない。

特に除去の多い環境である今ならば、1回でも殴れるというのは優秀であるし、腐っても2点は与えられると言うのは強みだと思う。

ただ、可能な限り殴れる状況を作り出す努力は必要で、自分は「激情のゴブリン」や「炎の印章」等で道を通すようにしている。

更には「焼け焦げたルサルカ」も入っているので、最低でも期待値が3点は望めるので、やはり優秀であると思われる。

・・・いくら場に残っても、殴れず護れない2/2には意味が無く、遠慮なく殴れ、そして最低限相手のライフを削れるコイツは、今までに無く優秀であろう。

●「血騎士」
2マナ2/2、敵対色のプロテクション及び先制攻撃。

その昔、これを許されていたのは白と黒のみであり、今ではスタンダードではそれらすらも存在しない。

これだけでも優秀だが、やはり一番の理由はそのプロテクションにあるだろう。

現在、主なビート色は白であり、それらを無視して殴り続けるそのクロックは素晴らしい。

そして、赤以外の除去の多くは白であり、「糾弾」や「屈辱」、「信仰の足枷」などを避けられるのも強みであろう。

あのビートダウン潰しである「制圧の輝き」すらも影響を受けないのは素晴らしい。

単体戦闘力においても先制攻撃があることで大体のクリーチャーに有利であり、火力との組み合わせにて大体のサイズを殺せるのも魅力の1つ。


・・・これら2つの戦力を手に入れることにより、赤単で組めるだけの大きな戦力を得たと言えよう。

相も変わらず「赤の防御円」に弱いのは、もはや宿命として諦めるしかないと思うので、これに関してはスルーの方向で。


>最後に
デッキ構成の解説でも。

赤マナさえあれば、1ターン目から動けるような構成にしている。

赤1マナでプレイできるのは総勢15枚。
内4枚は待機であるものの、これだけあれば大体は1ターン目から動けるだろう。

2マナ域は12枚。
最大5点ダメージや3点火力、そして赤の2マナ域最強の熊で構成され、2ターン目に出すにはどれも優秀なカードで構成している。

3マナ域は8枚。
このマナ域からはより速さが求められるので、クリーチャーは速攻持ち、火力は4点というダメージ効率の良いインスタントを採用している。

4マナ域は4枚。
これは、既に赤系を組む理由のひとつとして挙げられそうな、「巨大ヒヨケムシ」1択のみ。
主にフィニッシュに出来るくらいのカードのみで構成されている。

サイドについては見た通り。

「硫黄の精霊」は、白系ビートダウンへの序盤の牽制&3点クロック。

「特務魔道士ヤヤ・バラード」は、主にトロン系の塩水ロックに関する回答か。
「ザルファーの魔道士、テフェリー」への回答ともいえる。

「ワイルドファイアの密使」は、主に白系ビートダウンへの回答になるのか。
「巨大ヒヨケムシ」がコントロールへの最終回答なら、こっちは必ず通せるダメージ元、そして地上ならばなんでも身を護れる壁役。

「血染めの月」は、環境へのアンチメタ。
赤単の特権、対トロンへの回答。
・・・対策も勿論されてはいるが、それでも強力なのは証明されている。


とりあえず、こんなところだろうか。


勿論、上記のデッキが赤単Slighの最終形態とは思っていない。
様々なバリエーションが考えられるとは思う。
・・・しかし、それでもデッキの大元を考えるならば、このような感じではなかろうか?という、ひとつの目安ではある筈であろう。


さて、どのような環境になっていくのか・・・今から非常に楽しみである。


今日のところは、この辺で。

コメント

nophoto
おにぎり
2007年2月10日23:42

スライ考察、参考になります。
自分は今日スライで大会にでて、巡りもよく
全勝することができました。
感じたのは2ターン目にケルドの匪賊をだすか、
血騎士をだすかということの難しさ。
自分は相手によってかえますけど、意外と難しい部分です。

あとはメインは大体かたまってるので
サイドボードの重要性もかなり高いようにおもいます。

憎悪
2007年2月11日1:52

スライって素敵やん(伸介風)

《スークアタの槍騎兵》よりも《硫黄の精霊》はメインでいいんじゃないっすかね。
《差し戻し》でテンポ戻されたりしない上にボロスへの耐性が《血騎士》と一緒にメインから上がりますし(・∀・)

nophoto
ニックネーム無し
2007年2月12日21:23

サンドストーカーだとリセットに強くなる

冠翼の聖天使
冠翼の聖天使
2007年2月12日22:14

>おにぎりさん
2マナでどちらを出すか・・・これは1ターン目の展開&相手次第なんでなんともいえませんね。
後、単純なその2択ならそれはそれで楽なんですが、それ以外の選択肢も手札によってはありますしね、
その辺りは、その時次第なんで、なんともいえませんね。

>憎悪氏
「硫黄の精霊」は、速攻持ちじゃないですからねw
ただボロスが最有力ならば、それもありだとは思いますが、今はこのままにしておくつもりですかね。
自分は割と「スークアタの槍騎兵」LOVEなんでw

状況を見て考えて見ます。

>名無しさん
そうなんですよねぇ・・・。
古き良きスライでも、3マナ4点火力という意味合いを持つヤツは強かったですからねぇ・・・。
ただ、「リセット」といっても、皆が皆使っているわけではないですし、どちらかというと単体除去の方が使われていたりもしますから、少し迷いますね。

とはいえ、やはり使えるならば「神の怒り」は使われていますから、そっちに変えるのもまた手かもしれませんね。

考慮してみます。

nophoto
おにぎり
2007年2月13日0:34

返答感謝です。
そうですね、その時しだいですね。
まだまだ自分も修行がたらないですね〜><

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